ブルゴーニュのワイン祭に興味を持っている方は多いはず。でも一体どんなものなのか、日時、内容、参加方法についてはあまり知られていないですよね。
そこで、地元日本人ガイドが皆様にブルゴーニュ最大の秋のお祭り【栄光の三日間】ついて分かりやすくご説明します!

一夜で20億円以上?
お祭りのハイライトは初物ワインのオークション!

お祭りの開催日・栄光の三日間とは


栄光の3日間」はフランス語で「Les Trois Glorieuses」と言い、3つのイベントを総称しています。1つ目は1859年に始まったオスピス・ド・ボーヌのワインオークション、2つ目は1923年に古来の風習を復活させたムルソーのポレ(収穫祭)、3つ目は1934年に発足したブルゴーニュ利き酒騎士団の叙任式です。1924 年からオークションを11月第3週目の日曜日に固定し、その3つのイベントが同じ週末に開催されるようになりました。土曜夜にクロ・ド・ヴージョ城で利き酒騎士団の叙任式、日曜午後にボーヌ中心街でオスピス・ ド・ボーヌのワインのオークション、月曜昼にムルソーの城で「ポレ」と呼ばれる大昼餐会が行われます。

しかしその3つのイベントは完全予約制となっており、一般観光客は参加することができません。皆様がお祭りとして楽しめるのは金、土、日の3日間 。
ボーヌの町や周辺の村で様々なイベントが一般向けに開催されます。ボーヌ住民だけでなく、世界中からワイン関係者が集まるタイミングに乗じて、現地に足を運んだ人たちに観光とワインの試飲を楽しんでもらえるよう、ワイナリーやワイン店、ワイン同好会などが挙って特別行事を提供します!
 

世界最大級。オスピス・ド・ボーヌのワインのチャリティーオークション

お祭り中の目玉はなんと言っても「オスピス・ド・ボーヌ Hospices de Beaune」が主催するワインのチャリティーオークション。日曜日の14時30分からオテル・デュー向かいの建物で行われます。競売にかけられるワインは全てオスピス・ド・ボーヌ所有のブドウ畑から造られた初物ワインです。50種のキュヴェが一樽単位で取引され、多い年では800樽を越えますのでオークションは夜遅くまで続きます。

オスピスのワインのオークションは、アルコール発酵が終了したばかりの生まれたてのヴィンテージの最初の値付けとなります。そのためブルゴーニュ全体のワインの質の評価やその後の価格設定に大きく影響を及ぼすことにもなり、現地生産者だけでなく世界中のワイン関係者がオークション結果に注目しています。

収益金はオテル・デュー博物館の修繕費用や現在の病院の設備投資に充てられますが、毎年一樽だけは特別に慈善団体に寄付するためにオークションが行われ、出来るだけ沢山のお金を寄付できるように一時采配を芸能人が代行しオークションを盛り上げます。ワインの値がどんどん高騰していく中、バイヤー同士の駆け引きが続き、最終的に一体誰が競り落とすのかが最大の見せ場となっています。

オークションはワインを樽買いするバイヤーのために開かれているため、入場は予約チケット制になっています。当日は会場の外に大きなスクリーンが設置され、リアルタイムで中の様子が大画面で公開されます。


 

イベントの皮切りはクロ・ド・ヴージョ城での叙任式

世界中からメンバーが集まる、ブルゴーニュ利き酒騎士団の大晩餐会

 Par Noé, père de la vigne, par Bacchus, dieu du vin, par Saint-Vincent, patron des vignerons, nous vous nommons Chevalier du Tastevin 


ワインオークションの前夜(土曜日の夜)、ヴージョ村のクロ・ド・ヴージョ城でブルゴーニュ利き酒騎士団たちが叙任式を行います。
ブルゴーニュ利き酒騎士団(シュヴァリエ・ド・タストヴァン)はブルゴーニュワインの伝搬(特に口伝えによる名声の保持)を目的として1934年に発足しました。以来、毎年新メンバーが加わり、叙任式が行われています。会合は利き酒の会を含め年に十数回行われますが、栄光の三日間の叙任式は一年で最も重要なもので、シュヴァリエの称号を持つ者、新たに叙任される者、その家族・友人が招待され、約600人がシャトーに集まります。

新メンバーは赤と黄色の衣装を来たシュヴァリエ幹部から「ブドウ樹の父ノア、酒神バッカス、ブドウ農家の守神サン・ヴァンサンのもとシュヴァリエ利き酒騎士に叙任します。」と公表され、公然で台帳に氏名を記帳します。その後、シュヴァリエたちが認めた素晴らしいワインとブルゴーニュの伝統料理を郷土音楽とともに楽しみながら深夜遅くまで晩餐会が行われます。

利き酒騎士団に立候補するためには、既にメンバーになっている2人のシュヴァリエから推薦を受けることが必要です。「ブルゴーニュワインの良さを伝達する」のが目的の団体ですので、ブルゴーニュワインへの関心が試され、年に十数回現地で開催されている同団体の会合、もしくは日本支部で開かれる会合に少なくとも2~3回参加したことがなければなりません。その後の書類審査ではこれまで自分がどのようにブルゴーニュワインに携わってきたのか自己アピールします。現在、ブルゴーニュ利き酒騎士団は世界中で1万5千人が現役メンバーに数えられ、日本人も200人ほど叙任しています。

祭りの取りはムルソーの収穫祭!

Paulée de Meursault

ボーヌの町でオークションが行われた翌日、シャトー・ド・ムルソーで大昼餐会が行われます。今では総勢700名が一堂に会する国際色豊かな大昼餐会となっていますが、元々はムルソーの生産者たちが収穫を手伝った人々に感謝をする慰労会から始まり、男たちだけの会でした。というのも、昔、修道会では無事の収穫終了を祝って、収穫者たちに栄養価の高い料理を振舞い労ったそうです。その慣習はフランス大革命を機に忘れられてしまっていましたが、個人ベースでは細々と続いていたのです。ムルソーの生産者たちはその慣習を復活させ、1923年に村の収穫祭「ポレ」を開催しました。

戦争や経済危機を経てオスピス・ド・ボーヌが世界をターゲットにオークションを繰り広げるようになると、ムルソーの生産者たちも自分たちの村の収穫祭を発展させ、ワイン評論家を招いたり、オスピスのイベントに日程を合わせることによって取引先インポーターなども招待するようになりました。現在、参加者の半数はムルソー村の生産者たち、半数はその生産者たちが招待した顧客です。ワインはなんと「持ち寄り」です!そのため、様々なワインがテーブルを飛び交い、生産者たちが御酌をして回ったりするので、とてもアットホームな雰囲気で、楽しい食事会です。

 

一般観光客向け お祭りの参加方法




 

ボーヌの町や周辺で行われる様々な行事

前項目でご紹介した栄光の三日間の3本柱となるイベントは、ご説明した通りすべて予約制になっています。そこで皆様が実際に観光で訪れ、お祭りを体験する際には、金曜日の夕方から徐々に始まる土日をメインとしたボーヌ市内/周辺の、試飲を中心とした様々な催し物になります。

街中のいたるところに屋台が出ていて、ブルゴーニュ名物のトリュフやブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)、エスカルゴ、カシスのリキュール、乾燥ソーセージ、蠣など、グラスワインを片手に気軽に飲んで食べて楽しめます。セミマラソンや歩行大会に参加する人たちも大勢集まり、教会前の通りから一斉にスタートします。
他にも、ボーヌのワイン学校の生徒による樽づくりのデモンストレーションやワインのコルク早抜き大会が路上で行われたり、音楽隊や民族衣装を来た人たちのパレードも通ります。

人々は競売にかけられるオスピスのワインの試飲に行列したり、ブルゴーニュ生産者たちの新酒の試飲会に参加したり、ワイナリーやワイン店が祭りを機に蔵から出すオスピスのバックヴィンテージの特別試飲などを体験したりして楽しんでいます。

 

観光客も体験できる!お勧め二大イベント

何と言ってもこの時だけの特別な体験として「新酒の二大試飲」がお勧めです。オスピス・ド・ボーヌの新酒の試飲と、ブルゴーニュ中の生産者の新酒の試飲です。

オスピス・ド・ボーヌのワインの試飲は基本的にはバイヤー向けなのですが、10種類ほどが観光客用に提供され、プロ会場とは別にオテル・デューの旧醸造所に開設されます。9月に収穫されたばかりのブドウをアルコール発酵させて樽詰めした段階の未完成な初物ですので、まだ微炭酸を感じたり、キュッと閉まるフレッシュな酸を感じたりして「これがワイン?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は将来そのワインがどう変わっていくのかを想像しながら試飲しなければならないのです。プロたちはそれを見極めて高価なワインを競り落とすのです。

♯オスピス・ド・ボーヌのワインの試飲 Dégustation des vins des Hospices
土曜8h30-10h / 14h-16h (Ancienne Cuverie – Rue Louis Véry)
一方、ブルゴーニュ全体の生産者のワインの展示会は、ボーヌ郊外のパレ・デ・コングレという大ホールで行われます。約300軒のワイナリーがそれぞれ数種のワインを出展しますので、ものすごい数のワインが一箇所でテイスティングできるとても希少な機会です。こちらは今年醸造されたばかりの新酒に加え、まだ市場に出ていない樽熟成中の昨年のヴィンテージのワインも試飲できます。ほんの少しだけですがバックヴィンテージも一緒に出展する生産者もいます。完成前のワインはまさに成長段階にあり、今だけの風味、一期一会のワインです。

ブースは産地ごとに分かれ、試飲をしながらその風味の違いによってワインの産地をそぞろ歩きしているような気分を味わえます。ブルゴーニュでは「テロワールワイン」という言葉をよく耳にしますが、畑の風土をそのままワインに現した、原産地に直結したワインのことを言います。ブルゴーニュの生産者がワイン造りにおいて最も重要視していることです。

栄光の三日間のお祭りは地元の人たちにとっても一年の風物詩。
そして、彼等にとってもやはりワインをたくさん試飲できる嬉しい機会です。
会場にはブルゴーニュ在住の人たちもたくさん集まります。また、有名なワインの生産者たちが時間交代でブースを受け持ち顧客にワインを注いだりしています。生産者たちにとってもまた、一箇所でこれだけ多くの他の生産者のワインを試飲できるわけですから、しかも初物ワインですので、その年の秋に誕生したばかりのワインの初めての試飲となり、ヴィンテージの傾向をみる良い勉強になるようです。
グラスにワインを注いでくれた生産者が、雑誌に載っていた有名な生産者だった!ということも頻繁にあり、きっと皆様にとっても特別な思い出になるでしょう!

♯ブルゴーニュの生産者たちのワイン展示会 Fête des Grands Vins de Bourgogne
金曜14h-19h / 土曜9h-19h / 日曜9h-14h (Palais des Congrès-19 Avenue Charles de Gaulle)

 

オテル・デュー。
中世の施療院に起源を持つ、ボーヌ市立病院が観光とワインの主役を担う。

1443年、ボーヌの町の中心にオテル・デュー(貧民救済のための施療院)が建てられました。それがオスピス・ド・ボーヌの元祖です。「オスピス・ド・ボーヌ」と聞けばそのワインが有名なために、ワインメーカーのイメージがまず先に来る方もいらっしゃるかもしれません。現在でも病院の活動は受け継がれ、病院にお世話になった富裕層の中には畑を寄進する人たちがいたのです。 その風習は今なお続いていて、現在でもときどき継ぎ手のいないワイン生産者などが病院に感謝して、自分が相続するはずのブドウ畑を病院に寄進することがあります。 教会や病院に感謝の念を表し恩恵をあやかるために寄進するときは、昔から「良い畑」と相場が決まっています。そのためオスピスの所有畑は約85%がプルミエクリュ以上の畑です。今では総じて60ヘクタールに上り、ワイナリー部門を独立させた「ドメーヌ・デ・オスピス・ド・ボーヌ」として別に経営しています。
オスピスのワインは昔、個人ごとに話し合いで値付けをして売られていましたが、1859年からオークション形式がとられるようになりました。当初は主に地元民を対象としたものでしたが、戦争や世界恐慌を経て世界中に買い手を求めるようになり、現在では世界で最も有名なワインオークションにまで発展し、今年で161回目を迎えます。

オスピス・ド・ボーヌがワインオークションを開催することでボーヌの町に人が集まり、550年も慈善病院として人々を助け続けたオテル・デューの観光人気とともに、観光とワイン両面でブルゴーニュの名を馳せることになり、それが一つの独自性にもなっています。オークションの収益はオテル・デュー博物館の修繕費にも充てられていますので、今なお美しい姿を残し、その高い尖塔と色鮮やかな屋根がボーヌの町の象徴となっています。お祭り中も入館できますので時間があれば是非立ち寄ってみてください。

【栄光の三日間】をオンラインで楽しむ 日本向け特別企画!


コロナ禍の影響で昨年は中止になってしまった栄光の三日間のお祭り。今年やっと開催されると言っても、まだ日本から現地に足を運ぶのは難しいかと思います。そこでブルゴーニュ・レザンドールがベルトラ社と提携し、「栄光の三日間のオンライン体験」をご提供します!

オテル・デュー館内を拝観し、街中のお祭りやオークションの様子をVTRでお届けした後、ハイライトはオスピス・ド・ボーヌのワインの醸造長の生出演!一夜にして20億円以上もの売上となる50種ものワインを一手に醸造するプレッシャーは如何なるものなのか、彼女のワイン造りの姿勢や情熱について、ご参加者の皆様とダイレクトの対話をZOOMオンラインにてお楽しみいただきます!
 
2021 年 12 月 1 日(水)日本時間 20 時 30 分より
♯オスピスのワイン醸造長が生出演・一回限りのオンライン!
♯前日までエントリーできます。ご予約・詳細はこちら↓

【オンライン・アカデミー】ブルゴーニュ最大のお祭り「栄光の三日間」とオスピス・ ド・ボーヌのオークションとワイン造り< Zoom > *12/1( 水 )20:30 ~ | フランス(ブルゴーニュ)旅行の観光・オプショナルツアー予約 VELTRA (ベルトラ)

 

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